心理職の方、心理職をめざす方向けのコラムです。
わたしたちリエゾンエイドは普段は企業の人事労務担当者向けの情報提供をしておりますが、
せっかくなので、心理職の方、心理職をめざす方向けの情報も発信していきます。
とはいえ、気軽な読み物としてお読みいただければありがたいです。
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こんにちは。liaison aideです。
公認心理師試験の解説編です。
気になった問題から抜粋してお届けします。
考え方のプロセスをご紹介しますので、参考になさってください。
問64の解答・解説はこちら。
問77の解答・解説はこちら。
問78の解答・解説はこちら。
問94の解答・解説はこちら。
問95の解答・解説はこちら。
問130の解答・解説はこちら。
問136の解答・解説はこちら。
問139の解答・解説はこちら。
今回は、
問149。
45歳 男性A 工場勤務
酒好き 毎日焼酎4〜5合飲酒
ここ数年健康診断で肝機能異常、飲酒量減らすよう指導あり
半年前から欠勤やアルコール臭、仕事のミス目立つように
産業医から断酒、もしくは入院治療の必要性を説かれ、一切飲まないと約束。
1ヶ月後、上司より産業保健スタッフ心理職に連絡
「1週間の無断欠勤、電話すると『つい酒を飲んでしまった』とのこと」Q. 関係者(上司、人事労務担当者、産業保健スタッフ、家族など)の対応として不適切なものは?
A. (3)「『絶対自分でやめる』と主張する場合は、Aの意思を尊重して様子を見る」
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当初、(1)とわかれたようですが(3)に落ち着いた模様。
アルコール依存症の疑いが濃厚な方の事例です。
毎日の大量飲酒、(おそらく)迎え酒に加え、アルコール摂取による問題が身体面(肝機能異常)にも行動面(欠勤、仕事のミス)にも現れています。
産業医から断酒か入院を突きつけられ、断酒を誓うも1ヶ月と経たずスリップ(再飲酒)。
と、非常に深刻な状況であり、「依存症」治療の対象と考えられます。
「依存症」において重要なことは、「病」であって「意志」の力ではどうにもならない、太刀打ちできないことを周囲も本人も理解すること。
コントロール不可能な状態に陥るのが「依存症」。
「絶対自分でやめる」と本人が主張し決意してもムリなのです。
しばらく頑張れても、再飲酒して落ち込んだり、自暴自棄になったり、悪循環に陥ってしまいます。
ですから、医療者や関わる人々は正しい知識をもとに「意志で断つことができない病なので治療しましょう」と働きかける必要があります。
したがって、
(3)「『絶対自分でやめる』と主張する場合は、意志を尊重して様子を見る」
が不適切な対応でした。
(1)「関係者が集まり、全員で問題を認識させる」
もだいぶ怖い、追い詰めるような感じもしますが、あくまで【認識】させるなので。
【説得】とか【問い質す】わけではないのでありえます。
これも「動機づけ面接」の導入と考えていいでしょう。
上司や人事担当者、産業保健スタッフ、家族など関係者が集まることで、ことの重大さがわかる。
それが怖い反面、それだけ大変な病であり、皆が真剣に考えている、というメッセージにもなります。
また、それぞれの立場から見えること、現状をどのように捉えているのか、を知ることもできるでしょう。
依存症対策では、周囲の人が同じ方向を向いて支援することが重要なのですが、一堂に会することでそれが可能になります。
「イネイブラー」になっていないか自分の言動を振り返り、お世話や尻拭いをしない、適切な対処・対応を知り実行する、という共通認識をもって、関係者同士もサポートし合うことが大切です。
ちなみに
平成 25 年 12 月「アルコール健康障害対策基本法」成立
平成 26 年6月施行
平成 28 年5月「アルコール健康障害対策推進基本計画」
が策定されています。
依存症対策は国をあげて取り組んでいるので押さえておきましょう。
*あくまでも「臨床心理士」としての個人的見解なので、解答を保証するものではありません。
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