心理職の方、心理職をめざす方向けのコラムです。
わたしたちリエゾンエイドは普段は企業の人事労務担当者向けの情報提供をしておりますが、
せっかくなので、心理職の方、心理職をめざす方向けの情報も発信していきます。
とはいえ、気軽な読み物としてお読みいただければありがたいです。
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こんにちは。liaison aideです。
公認心理師試験の解説編です。
産業領域で気になった問題から抜粋してお届けします。
考え方のプロセスをご紹介しますので、参考になさってください。
問64の解答・解説はこちら。
問78の解答・解説はこちら。
問94の解答・解説はこちら。
問95の解答・解説はこちら。
問130の解答・解説はこちら。
問136の解答・解説はこちら。
問139の解答・解説はこちら。
問149の解答・解説はこちら。
今回は、問77。かなり議論になっている問題です。
問77 産業・組織
(企業内心理職 産業保健スタッフ 連携 チーム 職場復帰支援 休職 うつ病)
30歳 女性A 事務職
半年前から業務過重で社内相談室の公認心理師Bに相談
その後うつ病と診断、3ヶ月前から休業、休業中もBには近況連絡あり
本日AからBに「主治医から復職可能との診断書をもらった。早く職場に戻りたい。手続きを進めてほしい」と連絡あり
Q. このときの対応として、適切なもの2つは?
A. (4) 「Aが自分で人事課に連絡を取り、復職に向けた手続きを進めるように伝える」
(5) 「Aの同意を得て、Bが産業医にこれまでの経緯を話し、必要な対応を協議する
これは相当迷いました。
なぜか。
それは、「社内相談室」の「心理職」の役割、求められているものは企業ごとに異なるからです。
スクールカウンセラーはガイドラインがありますし、病院もある程度の統一見解があるでしょう。
しかし、産業領域においては事業所によって期待されること、業務内容が違います。
当然、そこでの枠組みの中で業務を遂行するわけです。
その前提条件が示されないまま、上記設問に回答するのは非常に無理があります。
といっても仕方がないので、ここでは「臨床心理士」としての一般的な役割に沿って考えてみることにしましょう。
(5)は正解確定。
(3)は除外。・・・でいいでしょう。
(1)は「AとBで」が「2人【だけ】で」と読めるのでバツ。
多くの人は(2)と(4)で迷うかと。
(2)「主治医宛に情報提供依頼書を作成」するのは産業医等。
なので、産業医がいれば産業医ですし、
いなければ社内産業保健スタッフである心理職が作成することもありうる。
けれども、「復職可の診断書をもらった」のであれば、
まずはそれを持ってきてもらうのでは?
それで情報不足だと感じた、確認したいことがあったら「情報提供依頼」するのが通常の手順だと考えられます。
したがって、「本日Aから連絡があった」ときの対応としては適切とはいえない。
(4)「本人が自分で人事課に連絡を取り、復職に向けた手続きを進めるように伝える」
「本人が自分で人事課に連絡を取る」ことに引っかかった方も多いようですが、
その他の臨床場面で置き換えてみてください。
心理職が「手続きを代行」するでしょうか?
いくら相談者の調子が悪くても、「代わりに役所に電話をしてあげる」とか
「ドクターに薬を変えてほしいと伝える」とかしないですよね??
「医者には言えない」と訴えるのであれば「どういうことが引っかかっているのか」、
「どうやったら伝えられるか」、「どういう方法ならできそうか」、一緒に考えるのが心理職の役割です。
伝言板にはならないはずです。
冷たく聞こえるかもしれませんが、復職に関する事務的な手続きをするのは従業員本人と人事のお仕事。
サポートやフォローはしますが代行はしません。あくまでも補助です。
そもそも、人事とお話しできない人は復職できる段階にはない(特別の事情がないかぎり)と考えられます。
ということで、
正解は(4)と(5)で!
公式の解答が異なっていたとしても、私はこれは譲れません!!
*あくまでも「臨床心理士」としての個人的見解なので、解答を保証するものではありません。
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